団地管理組合法人の取り組み
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団地管理組合法人の取り組み
当団地の「課題」
 当団地の課題をまとめると、「建物設備の高経年化と区分所有者、居住者の高齢化」につきます。
 当団地は1968年(昭和43年)築で、50年以上経過していますが、築30年位を超えると、多くの団地で同様の問題点が徐々に表面化してくるようです。
 高経年団地の選択は、(1)建て替え、(2)最低限の延命工事を行い、ある時期に解体、敷地売却、(3)必要な更生工事を行い長寿命化、のいずれかといわれていますが、当団地の選択は(3)です。(3)を、居住の快適性を損なわず、区分所有者が許容できるコストで、いかにうまく進めるか、が課題の内容です。
 ハード面では、建物、設備の老朽化に伴う修繕や更新の頻繁化があります。これに手を抜くと、雨漏り、給排水管の漏水、外壁や階段室の破損や汚れ、等による事故が目立つようになり、スラム化に至ることになります。新設備、電化製品等を含む新しい生活様式に対応するためには、従来のままでは使用できない場合もあり、リフォームの必要性が増してきます。
 区分所有者、居住者の高齢化による問題も極めて厄介です。当団地では入居開始時に入居した区分所有者が少なくなっています。30代で入居された方は80代になっているわけですから当然のことです。その方たちの次の世代が区分所有者として団地に住み続けている場合もありますが、賃貸にしたり、空き家のままである場合もありますし、一人暮らしで居住していることになっている区分所有者が実際は高齢者施設に入っている場合もあります。区分所有者が亡くなっても相続者がなかなか現れないケースさえありました。
 区分所有者が高齢であると、経済的な問題が生じやすく、管理費や修繕費積立金を年金等からかろうじて支払っている区分所有者に対し、修繕費積立金の値上げや特定の工事等による臨時の集金をお願いすることができない現実があります。
 また、管理組合法人の役員は団地内居住の区分所有者(又はその同居近親者)であることが前提なので、団地内居住区分所有者の絶対数が減り、しかも役員の業務を果たすことができない年齢の方が年々増加することから、「役員のなり手不足」も問題です。
 では、どうしたらよいのでしょうか?次に、これらの問題に対する当団地の挑戦をご紹介します。
当団地の「課題」に対する対策
建物、設備等の老朽化に対する対策
 「団地の歩み」で述べられているように、当団地は一時期「建て替え」の気運が高まり、建て替えるならば手入れは不要との発想から、建物、設備の長寿命化にむけた修繕等をおろそかにした時期がありました。しかし、その後「修繕等による建物、設備の延命」に方針転換しました。そこで、建物の大規模修繕をはじめとして、団地内の施設、建物、設備をどのように維持していくか、長期的な計画を立て、優先順位をつけて取り組むことにしました。その時々で名称が変わることはありましたが、現在は「計画工事企画委員会」を理事会の下に設け、いつ、どのような工事(更新、保全、修繕)を行うか、その資金計画を含めて計画するようにしています。最近では、2017年度に建物の大規模修繕と窓枠全面のアルミサッシ化、玄関扉更新を実施し、2020年度は管理組合法人主導で専有部の給水管更新工事を実施する予定で取り組み中です。(専有部なので、管理組合法人の修繕費ではなく、区分所有者負担ですが、管理組合法人主導で工事仕様を定め、経費の一括負担が難しい区分所有者には管理組合法人が立替えて、区分所有者は管理組合法人に分割で返金する方式も準備して区分所有者に工事実施をお願いするという方法です。)
 大規模修繕、アルミサッシ、給水管更新等のまとまった工事では、その経費は管理組合法人の修繕費積立金では賄うことができず、資金借り入れをしました。借り入れにおいては、管理組合を法人登記した方が好都合であることもあって、(それだけが理由ではありませんが)2019.年の定例総会で法人化を決議し、法人登記しました。
 このように、ハード面の工事については、資金面を含め綿密に計画し、きっちり実行する、ということで、あと30年以上、現有建物、設備を維持しようと考えています。
 更に、施設としての団地内の公園についても、2020年現在では「はさみ公園活用検討委員会」により、居住者が利用したくなる公園の再生に向け、また、植栽についても、中長期的な見方で団地内の緑化、植栽をどのようにするか、樹木医等のアドバイスも受けて「園芸管理実行委員会」で検討し、具体的な施策が理事会に答申され、実行に移されています。
新しくなった「はさみ公園」のモニュメント
新しくなった「はさみ公園」のモニュメント(クリックで拡大)
団地内に広がる芝生と桜
団地内に広がる芝生と桜(クリックで拡大)
若年層居住者入居を期待する空き家対策
 以前、年々団地内の空き家が増加し、どうすれば新たな居住者を招き入れることがでるか、と模索していた時期がありました。その後、NPO法人の働きかけをきっかけに、リノベーションプロジェクトを立ちあげることになりました。
 このプロジェクトは、当管理組合(その後法人)、NPO法人ちば地域再生リサーチ(CR3)、日本総合住生活株式会社の3団体が協力して、2018年1月より、80年マンションを目指す新規事業の第1弾として開始したもので、当団地内の空き家情報を当管理組合が日本総合住生活株式会社に伝え、日本総合住生活株式会社が購入できた場合は、NPO法人ちば地域再生リサーチの助言のもとリノベーションして、賃借人に貸す、というものです。賃借人が気に入れば、買取にも応じることになっています。(居室買取の際は日本総合住生活株式会社又はその指定した業者と市中の不動産業者等は公平の立場で競合しますので、売却しようとする区分所有者の意思で売却先が決まります。日本総合住生活株式会社は当管理組合(法人)が把握した売却物件情報が伝えられることを除けば、特段の有利なことはありませんし、当管理組合(法人)も紹介料を受け取るようなことはなく、空き家解消が唯一かつ最大のメリットです。但し、日本総合住生活株式会社又はその指定した業者は市中の不動産業者のような手数料を取りませんので、売主がそれを勘案して判断すれば成約率は上がると考えられます
 様々な理由で空き家となってしまった住戸を、賃貸住戸へリノベーションすることで、自然豊かで交通至便な住環境を求める都内通勤者や、結婚を機に居住先を探していたカップルなどが、この団地へ少しずつ移り住んでいます。(詳しくは「リノベーションプロジェクト」へ)
区分所有者、居住者の高齢化に対する対策

給水塔(クリックで拡大)
 リノベーション対象件数は現在15戸となっていますが、それとは別に、NPO法人ちば地域再生リサーチと共同で、国交省が進めるサービス付き高齢者向け賃貸住宅(サ高住)の検討を始めました。この検討は、「マンション管理適正化・再生推進事業」として国土交通省住宅局の採択案件となり、当管理組合法人としては2020年現在「新規事業検討委員会」が中心になって具体策の検討に着手したところです。
 計画の内容は未だ流動的でアイデア段階ですが、一例をあげれば、当団地内の使用されなくなった給水塔を取り壊し、跡地に「サ高住」の共用施設を建設しようというものです。施設は現有の居室の空き家が活用される場合と、新たに他施設とともに新設する場合が考えられますが、いずれも問題点を含み簡単ではありません。(当団地が建設された昭和40年代頃は、給水塔は団地に不可欠な施設でしたが、その後県水道から増圧ポンプを介し直結で給水するようになりましたので、給水塔は「無用の長物」となっています。)
 その他に、現在管理会社に委託している団地内の清掃や管理組合法人の補助業務を当団地居住者、中でも第一線を退いた高齢者がNPO法人をつくって行うことを計画しています。「コミュニティ活動」でご紹介した稲三サポートの会植栽会も発展的に合同してもらうことも考えています。こうすれば、管理会社に支払っていた委託の経費を団地居住者によるNPO法人に支払うことにより、NPO法人に所属した高齢者は自分たちの団地を自分たちで整えることで、若干なりとも収入も得られることになます。この計画は「NPO法人設立検討委員会」で準備を進めることになっています。
管理組合法人本年度の取り組み
 定例的な業務(建物・施設の維持管理、植栽の維持管理、駐車場・駐輪場の維持管理、会計業務、等)以外の、本年(2020年)度の計画、履行事項をご紹介します。
1. 専有部給水管更新工事
 当団地の専有部給水管は、リフォーム等で更新したり、過去の共用部分工事時に募集した専有部工事オプションで工事したケースを除くと、団地建設時からほぼそのまま使用されております。築約30年頃に赤水対策で対処療法的に管内を塗装したこともありましたが、管自体の腐食はかなり進んでおり、最近数年は漏水事故が散見されるようになりました。共用部分であれば管理組合法人として計画的な更新工事等の対応が可能ですが、専有部分の工事は区分所有者が自発的に発注し費用も負担する必要がありますので、なかなか実施されにくいのが現状です。区分所有者へのアンケート調査からは、全768室中未回答を含め700室以上で専有部給水管更新工事が必要と判断されました。専有部給水管の漏水事故は、保険の対象外であることが多く、特に上層階で事故があると当事者の経済的負担はかなりのものになります。
 このような状況に鑑み、管理組合法人(計画工事企画委員会)では、当団地の間取りに合わせ、なるべく安価で、工期が短く、地震・さびに強い配管を用いた工事を条件として工事仕様を決め、計画立案から協力してくれたNPO法人集合住宅等管理支援センターに監理業務を依頼し、工事業者として5社から見積もりを取り、その中で絞り込んだ2社に詳細なヒアリングを行い、業者を決定しました。
 さらに、1件あたり、数10万円の費用が必要なので、これに対応が難しい区分所有者には、業者への支払いは管理組合法人が立替え、10年分割で「特別修繕費積立金」として管理組合法人に支払ってもらうことにしました。但し、管理組合法人は一括で業者に支払うことができないため、借り入れを行います。
 これら一連のアクションは2020年5月の定例総会で承認を求める予定でしたが、コロナ禍により、事前の説明会が開催できず、8月に20名程度に入場制限した説明会を18回開催し、9月に臨時総会を開催して区分所有者の承認を得ました。工期としては2020年11月から2021年7月までを要する予定です。
 専有部の工事を管理組合(法人)主導で実施することは、議論のあるところですが、当団地管理組合法人規約第22条第2項に「専有部である設備の内、棟の共有部分と構造上一体となった部分の管理を棟の共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合法人がこれを行う事ができる。」とあり、総会承認を得て工事を行うことになりました。
2. 飲料自動販売機の設置
 団地内に飲み物の自動販売機がなく、設置要望の声が多くありました。自動販売機業者を調査したところ、電気配線や据付の工事費用は業者負担で、当団地管理組合法人は電気料金を支払うだけで済むという業者を選ぶことができました。設置場所は、団地入口、管理事務所脇、第3集会所脇、6号棟脇からカーチス側への通路脇の4か所です。居住者の利便性を第一に考えていますので、儲けは二の次で、近隣最安値と同じく1本100円です。空容器は持ち帰りを原則としており、コミ箱は管理事務所脇以外では設置していません。夏場は暑さのためか、売り上げはまずまずです。買いに行くのが楽なので、高齢者にも好評です。
3. 宅配ボックスの設置
 昨今、コロナ感染防止のため、密になりやすい買い物をやめて宅配主知にしている方が増えたと言われています。また、一人暮らし所帯が多くなり、宅配受取時に在宅が困難等で宅配ボックスを望む方もいます。そのような状況から、宅配ボックス設置としました。
 今回設置するボックスは3列あり、うち2列は特定業者限定ですが、残り1列は他の宅配業者も使用可能です。また、当団地内居住者のみならず近隣に居住の団地外居住者も利用できることを条件に、当団地管理組合法人は設置場所の提供、基礎工事(土台)、電気配線工事費は負担しますが、ボックス本体据付と設置後の維持管理は業者負担としました。
稲浜中学校前の自販機
稲浜中学校前の自販機(クリックで拡大)
第3集会所横の宅配ボックス
第3集会所横の宅配ボックス(クリックで拡大)
4. 管理事務所、集会所等の太陽光発電、蓄電設備の設置
 2019年の台風19号の際、当団地では停電し、解消までに約6時間を要しました。そこで、非常時対応として、防災拠点である管理事務所、第1、第2集会所及び付属トイレ等への電力供給手段として、太陽光発電及び蓄電システムを設置することにしました。
 今回、導入予定の太陽光発電システムは太陽光電池パネルと蓄電地を組み合わせたシステムで、平時の日中は太陽光パネルを電源とし管理事務所他へ通電と蓄電地への通電を行います。非常時の際は、蓄電池からの通電に自動で切り替わります。
第1、第2集会所屋上に設置されたソーラーパネル
第1、第2集会所屋上に設置されたソーラーパネル
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